発売されて60年以上が経った今も、ストラトキャスターとともに安定した人気をキープしているフェンダー社のテレキャスター。歴史、音の特徴、初心者にもおすすめのギターなど、テレキャスターの魅力をまとめます。
ストラト、レスポールに並ぶ定番ギター「テレキャスター」
1950年に登場したテレキャスターは、ストラトキャスターやレスポールよりも長い歴史を持ちながら、いつの時代も常に定番のエレキギターとして人気を集めています。
形は、非常にシンプル。同じフェンダー社から後に発売されるストラトキャスターは、構えた時の身体の当たりを考慮したシェイプになっていますが、このテレキャスターはシンプルな分、身体に当たりやすい形状です。しかし、そんなところも無骨で逞しいと、ギターファンに愛されています。
人気のモデルだけに、他社からコピーモデルも出ており、コピーモデルは「テレキャスタータイプ」と呼ばれています。テレキャスタータイプも含めると、たくさんの価格帯や種類があり、安いものでは1万円台から買えるものもあります。これからギターを始めようと考えている方は、こういった手頃なものから始めてみるのもおすすめです。
テレキャスターの音は歯切れの良い高音域に特徴がある
テレキャスターの音は、シングルコイル(ピックアップ)を搭載していて、歯切れの良い、高音域に特徴があります。ピックアップは、フロント(ネック側)とリア(ブリッジ側)で大小異なるものを使用していて、これは同じ仕様で統一しているストラトキャスターやレスポールにはない工夫で、テレキャスター独特の柔らかさと力強い硬質なトーンを生み出します。
ブリッジに採用されている、大きな金属プレートはコシの強い弦振動を生みます。テレキャスターの音色は特にコード演奏に向いていると言われ、サイドギターやギターボーカルとして愛用されています。
テレキャスターの主なモデル
テレキャスターの代表的なモデルとして、以下の3つが挙げられます。
テレキャスター・シンライン
ボディの内部をくり抜いてサウンドにエアー感を加えた「テレキャスター・シンライン」。1968年から製造され始め、当初はボディの軽量化だけを目的に内部をくりぬいて空洞化させていたのですが、そのボディ構造から出される独特のサウンドのファンを生まれ、現在も生産され続けています。
テレキャスター・カスタム
フロントピックアップにハムバッカーと、リアピックアップにシングルコイルを採用した「テレキャスター・カスタム」。1972年に製造を開始し、2つのピックアップの組み合わせをスイッチで変えることにより、多彩なサウンドを生み出せるように設計されています。
テレキャスター・デラックス
フロントとリアの両方をハムバッカーに付け替えた「テレキャスター・デラックス」です。LED ZEPPELINやJeff Beck Groupなどにより盛り上がった1960~70年代のハードロック人気に合わせて、ハムバッカーを搭載したことにより中音域の音の厚みが増し、特にロック系のギタリストから人気を集めました。1981年で一度製造を終了しているのですが、このモデルのファンが絶えずいることから2004年に再販売されるようになりました。
人気アーティストにも愛されるテレキャスター
テレキャスターをメインで使用するアーティストで世界的に有名なのがキース・リチャーズ(The Rolling Stones)。国内では、今、急速に人気を集めているバンド「ポルカドットスティングレイ」のMV「テレキャスターストライプ」で使用されているエレキギターもテレキャスターです。
その他にもTAKUYA(元JUDY AND MARY)、TK(凛として時雨)といったアーティストが自身のモデルとしてテレキャスターモデルを使用しています。
さらに布袋寅泰のトレードマークともいえる幾何学模様のギターもテレキャスターモデルです。また、チャットモンチーの橋本絵莉子は「ガールズバンドはテレキャスターを持つべき」というイメージを作りました。
とっつきにくそうで意外に汎用的なテレキャスター
テレキャスタータイプのギターを紹介しました。
元はカントリーミュージックでよく弾かれていた楽器でしたが、その独特な歯切れのいい音や荒さがロックミュージシャンにも愛され、オルタナティブやヘヴィロックなど、フェスイベントのステージでもよく見かけるモデルです。
ピックアップの交換やルックスなど、プレイヤーの個性に合わせて改造しやすいこともテレキャスターの特徴で、とっつきにくいようでとても汎用性の高いギターと言えるでしょう。
あなたらしさが活きるテレキャスターをぜひ探してみてください。